Beyond Visibility

不思議現象を「根拠を持って」科学する

人の意識は光子として放出される?

※光子とは光の粒子のこと。

 

「人の意識や感情は光子でできていて、絶えず放出されており、それによって相手は影響を受けその後の行動が変化する」

 

対人関係をよくするためのノウハウを「量子力学的に」解説した言説が流行っています。

細かく要素に分けましょう。

 

1)人の意識・感情が光子でできている

2)人から光子が絶えず放出されている

3)周囲の人物はこの光子を感知する

4)光子からの情報で、行動が変化する

 

物理学とは、検証の積み重ねで自然現象の背後にある法則性を明らかにしていく学問です。

過去に培った膨大な蓄積にも学ぶ必要があります。

理性的思考でモデルを考える分野もありますが(理論物理学の一部)、それは飽くまで仮説。

その正否、そして正しかったとしても「どの範囲まで」正しいと言えるのか、それらの厳密な検証が求められるのです。

 

結論から言えば、科学的根拠があると言えるのは2)と3)のみ(それも意識や感情とは無関係な光子限定で)。1)と4)は今のところ根拠レスです。

それを仮説として世に問い、検証に供するのであればよいのですが、初めから事実としてトップダウンで提示するのは、これは科学的とは言えません。

 

量子力学」が「科学的言説」の便利な道具にされることを危惧します。